じゃばらとは？

「じゃばら」は和歌山県北山村にだけ自生していた柑橘類。ユズと九年母、小ミカンなどが交雑し、寒さに強い品者が残ったものと言われています。昭和初期には村に沢山あったじゃばらの木は、いつしかたった1本になってしまいました。最後のじゃばらの木の所有者である福田氏が「じゃばらは村を過疎から守る産業になる」と進言し、1979年にじゃばらは正式に種苗登録されました。さらに2020年4月には、村の出資で(株)じゃばらいず北山が誕生しました。

じゃばらと花粉症

じゃばらと花粉症についての研究が始まったきっかけは、毎年20kg単位でじゃばらを何度も買い求めるお客様の存在でした。
村役場からの問い合わせへの回答は「こどもの花粉症のため、毎晩飲んでいる」とのものでした。半信半疑の役場職員がモニター調査を実施したところ、花粉症症状が改善したとの回答が49.5％集まりました。
和歌山県工業技術センターは、ジャバラの脱顆粒抑制作用について学会発表、岐阜大学医学部からはジャバラ果汁の飲用が、花粉症症状の改善のみならず、QOL（生活の質）の改善をもたらしたとの論文が発表されました。

　　　＊脱顆粒：花粉症などの症状を引き起こすヒスタミンなどを含んだ顆粒が放出される事

より科学的な評価へ

しかし上記の研究も、培養細胞を用いた基礎的研究であり、臨床試験もランダム化比較試験ではありませんでした。
そこで、東京家政大学家政学部 栄養学科臨床栄養情報研究室では、北山村・（株）じゃばらいず北山の受託研究として、じゃばらのスギ花粉症に対する効果を、ランダム化二重盲検によるプラセボ対照比較試験という科学的な方法で検討しています。

　　　＊プラセボ：ひとは薬の成分を全く含まない砂糖玉に過ぎないもの（プラセボ）でも、ある割合で効果があったという事があります。
　　　　これをプラセボ効果と呼びます。
　　　　科学的に薬や食品成分の効果を明らかにするためには、それを飲んでいない人と比較するのではなく、プラセボを飲んだ人と効果を比較する必要があります。
　　　＊ランダム化：臨床試験では誰がプラセボを摂取するかは、完全に無作為に決めなくてはなりません。
　　　＊二重盲検：誰がプラセボを摂取し、誰が本当のじゃばらを摂 取したのか、参加者にも研究者にも分からない方法で、臨床試験を行う方法。

研究成果

• 和歌山県北山村間柑橘類ジャバラ摂取による花粉症の改善効果およ び客観的な花粉症治療効果指標の探索．冨田知里、大谷義夫、澤田 めぐみ；東京家政大学紀要2020；第61集(2)19-24
• スギ花粉症に対する和歌山県北山村特産の柑橘類ジャバラの有効性 ～ランダム化比較試験に参加した1症例の検討～．澤田めぐみ、冨 田知里、小松﨑恵子、大谷義夫、三宅修司；アレルギーの臨床 2021; 41(3)248-254

臨床試験

• 臨床研究実施計画番号jRCTs031190211 スギ花粉症に対するジャバラパウダーの効果を検討する多施設、プ ラセボ対照、無作為化二重盲検による並行群間試験（募集終了）

　　東京家政大学・東京医科歯科大学・池袋大谷クリニック・みやけ 医院・こじま内科呼吸器科・水天宮前いきいきクリニック内科･呼 吸器科による多施設共同研究

• スギ花粉症に対するジャバラ顆粒の長期投与効果を検討す る多施設、プラセボ対照、ランダム化二重盲検による並行 群間比較試験（募集終了）

　　東京家政大学・東京医科歯科大学・池袋大谷クリニック・みやけ 医院・こじま内科呼吸器科・水天宮前いきいきクリニック内科･呼 吸器科による多施設共同研究