2010年 企画展「きらめきの金唐革・金唐紙」
展示趣旨
金唐革は、中世ヨーロッパで主に壁紙として使われていた装飾革で、金属箔を貼った革に模様をプレスしてエンボスをつけ、さらに彩色を施したものです。日本には江戸時代に伝来し、煙草入れや武具の飾りなどとして珍重されました。
一方、江戸後期より和紙で革を模した金唐紙が作られるようになり、明治期に壁紙として欧米に輸出されると、高度な和紙の加工技術と東洋的な文様が好評を博し、輸出の花形商品になりました。国内でも鹿鳴館や国会議事堂等の壁に用いられ、室内を華やかに彩りました。
本展では、中世ヨーロッパの 壁紙から近年日本で制作されたハンドバッグや屏風まで、「金唐革」と「金唐紙」を幅広く展示し、世界をめぐる中で用途や素材をかえていった そのエキゾチックな魅力にせまります。
国や時代を超えて愛された革と紙のきらびやかな装飾の世界をお楽しみください。
主な展示品
[図版出典]
①④菅靖子 『金唐紙』 金唐紙研究所 2007, ②③⑤ 福島粂子 『金唐革』 求龍堂 2003