2004年 企画展

 

2004年 企画展「若き石川梅子の日本画―明治末期の本学卒業生」

あやめ

展示趣旨

明治女性の大半が17歳前後で嫁入りし、良妻賢母になることが最善の生き方と考えられていた時代、自立した自分の道を歩んだ一女性がいた。

明治23(1890)年埼玉県に生まれた石川梅子(本名石川むめ)は、16歳の時に本学の前身である東京裁縫女学校に入学し、そこで和裁や手芸などを習得している。

卒業後、梅子は幼い頃から好んで描いていた日本画を本格的に学ぶため18歳で川合玉堂に入門した。しかし、社会の風潮を意識した両親の賛成を得られず、裁縫教師として奉職することとなった。その後、梅子26歳で私塾を創立し、和裁・華道・料理・書道などを当時の女性に教授するかたわら、同郷の江森天壽に入門し、画家としても成長期・円熟期を過ごし活躍した。

男性中心の社会の中で女性の自立を目指した梅子の精神は、女性らしくやさしい色合いの中に、時おり見せる凛とした力強い線となってあらわれている。

今回は、感性の豊な16歳から20代なかばに、のびのびとリズム感よく描かれた花の写生画を中心に展示する。身近な草花や小鳥から、絵を描くことに向けられた梅子のひたむきで純粋な姿勢を感じていただければと思う。

開催期間:平成16年5月20日(木)~6月8日(火)