2002年 企画展

 

2002年 企画展「衣服にみる文様-日本の北・南」

開館時間
平成14年10月15日(火)~11月12日(火)

展示趣旨

今回は、アイヌの刺繍と沖縄の紅型に名古屋の有松絞りを加え、衣服に 表現された文様を中心に展示します。

衣服に文様を施すことは、単に衣服を美しくするためだけでなく、災害や悪魔から身を守るための呪術的な願望もこめられています。

アイヌの人々の居住地域は、主に東北地方の北部から、北海道、樺太、千島列島にかけてであり、狩猟、漁撈、植物採集を中心する素朴なつつましやかな生活の中から独特の文化を育ててきました。

染の技術をもたないアイヌの人々にとって、衣服に文様をつけるには、布と糸・針のみを使用して行う切伏(アップリケ)と刺繍の二つの方法で受け継がれ、左右対称を基本とする端正で厳しい独特の文様をうみだしてきました。

沖縄は、日本列島の南端に位置していたことから、海路を通じて中国、南方との交流も盛んであり、その影響を受けて琉球王朝時代に独自の文化が栄えました。その中の一つに紅型が上げられます。残念ながら、明治以降に急速に衰退しましたが、戦後沖縄の人々の努力によって伝統技法の紅型はよみがえったのです。その色彩は鮮やかで、文様は民族色豊で大胆です。正に沖縄の人々の心情を表現した文様です。

文様によって、その時代の人々が何を表現しようとしたのか。対照的な二つの 地域の作品を中心に衣服文化の継承の意義を考えてみたいと思います。