斎藤和夫 アフタヌーンセミナー:ハンドスプリント
熱可塑性スプリントシートを用いたスプリント作製の実態調査
【発表要旨】
一般社団法人日本ハンドセラピィ学会(以下,本学会)社会保険等委員会は,本年度よりスプリントの医療保険収載に向けて本格的に委員会活動を開始した.今回は,ワーキンググループとして昨年実施したスプリント作製の実態調査の結果を中心に報告する.
本調査の目的は,熱可塑性スプリントシートを用いたスプリント作製の実態から,スプリントの技術的難易度と普及性を明らかにすることである.本学会認定ハンドセラピスト養成カリキュラムハンドスプリントアドバンスセミナーを修了し,調査に同意および回答が得られた29施設31名のセラピストを対象に,2019年9月および10月の2か月間に作製された547件のスプリントについて,作製したスプリントの対象診断名,作製目的,作製時期,関与する関節,コンポーネント接続の有無,作製時間を調査した.結果は,スプリントが日常臨床で術後あるいは受傷後すぐに使用され,治療経過中も目的に応じて多様なスプリントが作製されていることが明らかとなった.しかもその難易度は中堅のハンドセラピストにおいて比較的短時間で作製できるものであることがわかった.
今後は,診療報酬改訂の動向を注視しつつ,今回の得られたスプリントの技術的難易度と普及性のほか,スプリントの有効性、安全性、倫理性について明らかにするための活動を継続し,専門的な医療技術としてのスプリントの役割を明確に創生したいと考える.
リハビリテーション学科は,最新の研究知見に基づく質の高い教育を行うとともに,研究成果を社会に発信していきます.