東京家政大学健康科学部リハビリテーション学科作業療法学専攻の教員らの研究論文が,国際誌(Geriatrics & Gerontology International)に掲載されました.
Suzuki M, Yamamoto R, Ishiguro Y, Sasaki H, Kotaki H. Deep learning prediction of falls among nursing home residents with Alzheimer's disease. Geriatrics & Gerontology International, 2020;1-6.
https://doi.org/10.1111/ggi.13920
研究の概要
認知症を発症した高齢者では,転倒の発生率が高いことが知られています.転倒は骨折,生活自立度の低下,生命予後,介護負担の増加に関連するため,転倒を予測するための様々な取り組みがなされてきました.これまでの研究で,下肢筋力,認知機能,行動障害などの複数の因子が転倒に関与していることが示唆されていますが,認知症を発症した高齢者がいつ転倒するのかを予測することは困難なのが現状です.そこで本研究では,認知症を発症した高齢者の運動機能,認知機能,行動障害に関する複数の因子を組み合わせた情報をディープラーニングによってコンピュータに学習させ,転倒する時期を予測することを試みました.
その結果,下肢筋力(膝伸展筋力体重比),認知機能(Mini-Mental State Examination得点),歩行自立度(Functional Independence Measure移動項目得点)のスコアをプラーニングによってコンピュータに学習させた場合に,最も予測精度が高く65%の対象者がいつ転倒するのかを正確に予測できることが分かりました.
本研究による知見は,認知症を発症した高齢者のリハビリテーションやケアの計画を立案する際の手掛かりになると思われます.今後もより効果的なリハビリテーションのトレーニングおよび評価の方法について検討していきたいと考えています.
リハビリテーション学科では,最新の研究知見に基づく質の高い教育を行うとともに,研究成果を社会に発信していきます.